新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセS (僕は、アスカの首を絞めている。一体何故…。) サ−ドインパクトの後、気が付いたら、アスカが僕の横で寝ていた。僕は、衝動的にアスカの首を絞めていた。 そして、アスカの顔に僕の涙が垂れていった。 いつの間にか、アスカの手が伸びて僕の顔を撫でる。すると、アスカの首を絞めている力が弱まった。 (良かった、アスカは生きていたんだ。) 僕は心の中で呟いた。そして、アスカの胸の上で泣いた。 「気持ち悪い…。」 アスカがそう呟いたような気がした。気が付いた時には、アスカは再び深い眠りについてしまっていた。 −プロロ−グ− アスカが目覚めたのは、それから3日後だった。 「アスカ…」 アスカを呼ぶと、僕は涙を流して笑っていた。はっきり言って、変な顔だったろう。 「ぷっ。バカシンジの顔、おかしいよ。どうしたの。」 僕は、穏やかなアスカの態度に少し驚いたが、満面の笑みを浮かべて言った。 「おかえりなさい。」 アスカも答えた。 「ただいま。」 僕は、その時、戻って来て良かったと心の底から思った。 次の日、僕はアスカに、色々なことを教えた。 サ−ドインパクトが起きたこと。 全人類が、一度滅びたこと。 殆どの人が戻ってきたこと。 父さん達が、ゼ−レや使徒に関する情報を全世界に公開したこと。 日本の首相が辞職し、冬月副司令の知人が新首相になったこと。 ネルフの多くの職員が戦略自衛隊に虐殺されたが、その多くが戻って来たこと。 戻って来た人の多くが、一時的な記憶喪失になっていること。 ミサトさんなど、一部の人が戻って来ていないこと。 それらのことを話すだけで、1日が過ぎてしまった。 一通り話が終わった後、僕は問いかけた。緊張の一瞬だ。 「アスカは、体力が落ちているけど、入院するほどではないらしいんだ。 その気になれば、明日にでも退院出来るけど、どうする。」 (アスカ、大好きだ。また、一緒に暮らしたい。) アスカは暫く考えた後、こう答えた。 「そうね。おうちに帰ろうかしら。ミサトにお帰りって言ってあげないとね。」 僕の顔は、一瞬綻んだように感じたが、直ぐに困惑を浮かべた顔になった。 「ミサトさんが戻らないと、僕と二人きりになるんだけど、それでもいいの。」 (まずい、何て事言ってしまったんだ。僕はバカだ。) 言った後に、しまったと思ったが、アスカはこう答えてくれた。 「ミサトの家族はアタシ達しかいないでしょう。 ミサトが戻るまで5年でも10年でも待ちましょう。 それが家族っていうもんよ。」 僕は、それを聞いて、泣きだしてしまった。 アスカは驚いた顔をしていたけど、どうしても泣きたくなったんだ。 こうして、翌日からアスカと僕の同居が再開された。 次話に続く **************************************** あとがき この作品は2004年8月20日頃閉鎖した「Hunt EVE」から現在休止中の「The Epistles」 に転載したもので、EOE後の物語です。 タイトルから分かるように、LRSやLMSなどではありませんが、あまりラブラブしないので、 LASとも言い切れません。ややLASといったところでしょうか。 主人公はシンジで、主にシンジの視点で話が進んでいきます。各話にサイドストーリー (「○話補完」)がつくことがあり、そこではアスカなどシンジ以外の視点での話が進んで いきます。たまに例外はありますが。 なお、シンジは成長はしていきますが、最後まで少し情けないままです。人間、そんな に急に変われるものではないからです。 一方、アスカは使徒戦では豊富な経験が却って邪魔になり、本来の力を出せなかったと いうことになっています。精神崩壊についても、アスカの心の弱さのみが原因ではなく、 使徒の攻撃が大きな原因ということになっています。また、アスカの過去には影の部分も あるというマイナス面もあるという設定にしていますが、アスカはあらる方面でかなりの 才能を見せます。あまりに常人離れしていて、シンジとは全然釣り合いが取れないので、 強引な設定を作って無理やりシンジとくっつけているような感じに思えるかもしれません が、その点は返す言葉が無いのでご容赦を。 ちなみに、この話の約20年後が「蒼い瞳のツインズ」の世界になりますので、LAS好き の人は比較的安心して読めるのではないでしょうか。 written by red-x