新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセS 第2部 ゼーレとの戦い 第27話補完 戦いの序曲 高校生達が病院に運び込まれようとしていた時、 公園から離れた所にジャッジマンとレッドウルフが並んで座っていた。 「あれが、惣流・アスカ・ラングレーか。 あんな強い女に警護なんか必要なのか? 凄まじい強さじゃないか。」 ジャッジマンはそう言うと、肩をすくめた。 「ああ、そうかもしれないが、彼女も人間だよ。 油断を突かれることがあるかもしれないじゃないか。」 そう答えるレッドウルフは、見たところ、15、6歳位の少年に見える。 「彼女と戦うには、軍隊が必要なんじゃないか?」 そんなことをしばらくの間レッドウルフと話していたが、ジャッジマンは頃合いとばかりに話を切った。 「まあいいさ、どっちでも。俺は、報酬分に見合った分を働くだけさ。 どっちにせよ、俺は彼女を守るだけだ。」 ジャッジマンはそう言って、その場を去った。 ** それから数日後、市内のとあるホテルの広いホールに、レッドアタッカーズのメンバーが続々と集まってきた。 それ以外の組織のメンバーも集まり、総勢2千人を超えていた。 集めたのは、ネルフである。 今後予想されるゼーレの攻撃に備えて傭兵をかき集め、守りを固めるためだ。 全員が集まったのを確認すると、加持が正面に置かれた台の上に立ち上がった。 「みんな、聞いて欲しい。俺は、ネルフ諜報部の部長代行の加持リョウジだ。 これから、我々は、ゼーレと戦うことになる。 ここにいる者達は、俺の命令に従って戦うことになる。 命令違反をする者がいると、作戦行動に支障が出る。 だから、俺の命令に絶対服従を誓ってもらう。」 加持が一気に言うと、ホール内の傭兵達は、口々に不満を言い出した。 そして、そのうちの一人が皆の声を代弁すべく、加持の前まで進んで行った。 「おう、加持さんよお。あんたの言うことも分かるが、俺は、俺のやり方でやらせてもらうぜ。 あんたの命令に絶対服従っていうことは、あんたに俺の命を預けることになるんだよ。 とてもじゃないが、実力も分からないあんたの言うことなんて、聞けないぜ。」 男はそう言って加持を睨んだ。 加持もその男を物凄い目付きで睨み、一触即発の状況になった。だが…。 「待ってください。」 そこに、アスカが現れた。 「あん、お嬢ちゃんは誰だい?」 男は、笑いながらアスカを見た。こんなところに、子供が何をという顔をしていた。 「私は、エヴァンゲリオンのパイロット、碇シンジのフィアンセです。 私達は、ゼーレのせいで一回は命を失いました。 もし、もう一度同じことが起きた場合、もう二度と奇跡は起こらないでしょう。 それでは、シンジが命をかけて守ったことが無駄になってしまいます。 だから、そうならないように加持さんに命を預けてください。お願いします。」 アスカはそう言って頭を下げた。 男は何かを言おうとしたが、それは初老の男によって遮られた。 「サードチルドレンは、命をかけて人間の世界を守ったといわれている。 そのサードチルドレンのフィアンセ殿がそこまで言うほどの男だ。 我々『ヴァンテアン』は、命を預けよう。」 そう言うと、初老の男は加持に向かって片膝をつき、頭を下げた。 他のヴァンテアンの傭兵達も、次々にそれに倣った。 「我々、『ワイルドウルフ』も、加持に命を預けよう。」 その声と同時に、ドイツの傭兵達も加持に向かって片膝をつき、頭を下げた。 「我々も、加持に命を預ける。」 ジャッジマンも加持に向かって片膝をつき、頭を下げた。 ジャッジマンの部下達もこれに倣った。 「僕は、レッドアタッカーズのレッドウルフだ。僕も、加持に命を預けよう。」 その声と同時に、レッドアタッカーズの傭兵達も加持に向かって片膝をつき、頭を下げた。 ジャッジマンとレッドウルフは、この場の誰もが認めるほどの凄腕だった。 その二人が揃って加持に命を預けると言ったため、 最初に加持に食ってかかった男は蒼白な顔になっていった。 「俺も命を預ける。」 「俺もだ。」 雪崩を打ったように、ホール内の傭兵達は、加持に向かって忠誠を誓っていった。 そうして、最後には、加持に食ってかかった男も含めて、全員が加持に跪いた。 「皆さん、ありがとうございます!」 アスカは、深々と頭を下げた。 こうして、ゼーレを迎え撃つ準備は、着々と進んでいった。 次話に続く ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― キャラ設定:ジャッジマン 謎の組織のエージェント。凄腕の傭兵でもある。加持とは面識がある。 第3新東京市のガードとゼーレ調査の責任者。 後に、第3新東京市のガードは、アメリカの傭兵部隊、レッドアタッカーズに任せることになる。 キャラ設定:レッドウルフ アメリカの傭兵部隊、レッドアタッカーズの一員。 格闘技、兵器、爆弾、変装、諜報戦など、あらゆる分野のエキスパートであり、 唯一、ジャッジマンに勝ったことがあるほどの凄腕。 謎の組織に雇われて、アスカ達の身辺警護のために近付いてくるが、その年齢、性別など正体は一切不明。 written by red-x