新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセS 第3部 ゼーレとの戦い−激闘編− 第42話補完 ミリアの決意 「今日は、お前達に重要な指令がある。」 そう言って、ジャッジマンは部下達を見渡した。 ジャッジマンの部下は、傭兵部隊だけではなく、第3新東京市で各種スパイ活動をしている者、 組織がアスカに与えた企業で働いている者、様々だったが、 今ここには隊長格の者、20人が集まっていた。 「今日、盟主様からの直々の指令が下った。一度しか言わないから、良く聞くんだ。」 ジャッジマンは大きく息を吸い込み、空気を震わせて言った。 「碇シンジのために、死ね!」 その瞬間、部下達は固まった。 *** 「お前ら、ちょっと来い。」 そう言われて、マックス、ミリア、アリオス、アールコート、キャシーの5人は、 特訓が終わった後にジャッジマンに呼び出された。 無論、全員がジャッジマンと同じ『サグ』という組織のメンバーだ。 「今回の戦いで、我々の組織はネルフに全てを賭けた。 おそらく、3月中に決着するだろう。そこでだ。 惣流アスカか碇シンジから何か頼まれたら、決して断るな。 もし、このうちの誰か一人でも断ったら、連帯責任としてこの場の全員に罰が与えられる。 良いな、この命令は絶対だ。」 それを聞いたミリアの顔が歪んだ。ここにいるメンバーは、何かしら訳ありであった。 例えばミリアの場合は、自分を育ててくれた義理の親のためだった。 ミリアの養親は、ミリアのような、親を亡くした子供達を大勢引き取って育てていたが、 事業に失敗して、膨大な借金を抱えてしまっていたのだ。 そんな時に手を差し伸べてくれたのが『サグ』という組織だった。 ミリアの何処が気に入ったのか、ミリアの体をいかようにしても良いという条件で、 『サグ』はミリアの養親を援助しており、今もそのお蔭で、 ミリアのきょうだい達が生き長らえているのだ。 ミリアの予想に反して、性的な命令は皆無だったが、激しい軍事教練によって、ミリアの肉体は酷使された。 だが、体を壊すほどの度を過ぎた訓練は要求されず、無茶な命令も受けることは無かった。 ただし、毎日のように、組織の命令には絶対に従うことを誓約させられていた。 『死ね。』と言われたら、ためらわずに死ぬようにとも。 もし、命令に反したら、今まで援助を受けてきた金を養親は組織に返さなくてはならない。 それは、ミリアのきょうだい達の不幸を意味するのだ。 『死ね。』と言われることに比べたら、今回の命令はかなり穏当なものだろう。 何故なら、惣流アスカは、付き合いの短いミリアから見ても公明正大であるし、 尊大で我が儘なようでいて、実は面倒見の良い姐御肌であることが分かってきたからだ。 それ故か、アスカの周りには不思議と男女を問わず、アスカを慕う者が寄って来ているのだ。 一方の碇シンジは、心の底には熱いものを持っているようだが、普段はとても優しい。 訓練の時に、周りの者のミスでシンジが殴られても、シンジは決して責めない。 それどころか、励ましてくれるほどだ。 それ故、パイロット候補生達は、例外なく二人のことを気に入っているし、 その点から言えば、誰も命令違反などしないだろう。 かえって、二人の手助けをしたいと思っているくらいだからだ。 自分の我が儘のために、周りの者に迷惑をかける訳にはいかない。 ミリアはこの時、心を決めた。ミラクル5として、アスカに協力することを。 次話に続く ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― written by red-x