新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセS

第3部 ゼーレとの戦い−激闘編−

第46話補完 新たな敵


「どうだ、ネルフの様子は?」

「はっ。ゼーレに対して、着々と攻撃の準備を進めているようです。
詳細は分かりませんが。」

薄暗い部屋の中で、二人の男が会話をしていた。

「そうか。で、惣流キョウコの娘はどうなっている。」

「そ、それが、ガードが固く、近寄ることすら叶いません。」

「ネルフのガード位、いかようにもなるだろうに。」

「そ、それが、複数の組織がガードしておりまして。」

「何っ。どこの組織だ。」

「ワイルドウルフ、レッドアタッカーズ、それにサグとかいう組織です。」

「ワイルドウルフはドイツの傭兵部隊だったな。
レッドアタッカーズはアメリカか。
だが、サグとは何だ?初めて聞くぞ。」

「そ、それが、未だに正体が掴めません。」

「ふうむ、では、迂闊に手を出すのはまずいかもしれんな。」

「その通りです。それに、組織の者は、市内に入ることすら出来ません。
仕方なく、私立探偵や何でも屋を使っているような状況です。」

「まあ良い。だが、惣流の娘は、何としても消すんだ。良いな。」

「ですが、隙がありません。
ネルフの中にいると、手を出せませんし、ネルフの外では常に10人を超える護衛に守られています。
新たな刺客を送り込んでも、市内に入るのは難しく、金で雇えるような連中では、成功は見込めません。
かえって、我々の存在を相手に知らせるだけかと。」

「だが、あの娘は何としても消さないとまずい。
おそらく、母親から何らかの方法で我々の事を伝えられている筈だ。」

「ですが、そのような兆候はありません。
母親から聞いていないか、記憶を失っているのでしょうか。」

「確か、あの娘は、使徒と戦った時に、精神攻撃を受けたそうだな。
その時の後遺症が残っているせいかもしれん。」

「その使徒の精神攻撃ですが、簡単に回復するようなものなのでしょうか。
一時期は、かなり酷い状態だったと聞きます。
もしかすると、本物はまだ寝たきりで、今は替え玉ということも考えられるのではないでしょうか。」

「ふん、そう都合よく替え玉などいるのか。」

「ええ。今までは片方が影に隠れていて、
使徒にもう片方が寝たきりにされたのを機会に入れ代わったのではないかと。
私は、惣流キョウコの娘は双子だと思っています。
パイロットリーダーがおそらくその片割れかと。
さもなければ、クローンの可能性もあります。」

「だが、それはあるまい。いつも碇の息子が一緒だろう。
好きな女が入れ代われば、いくら何でも気付くだろう。」

「では、やはり同一人物とお思いですか。」

「ああ、もちろんだ。だから、何としても消すんだ。
それに、一体何回失敗すれば気が済むんだ。失敗は、100回は超えている筈だぞ。」

「ですが、あの娘は普通じゃありません。
飛行機から突き落としても、死にませんでしたし。
しかも、その後、1個中隊の敵陣の中でも生き延びました。
とてもじゃないですが、信じられません。
一体、どんなマジックを使ったのか。」

「うまく、木のクッションにでも当たったんだろう。
それに、1個中隊の敵と言っても、隠れてやり過ごしたんだろう。運の良い娘だ。」

「そうでしょうか。ですが、せめてヨーロッパにいる内に何とかするべきでした。」

「そうだな。日本だと、何かと行動が制約されるしな。
だが、それは言い訳だ。何としても、あの娘を消すんだ。」

「ですが…。」

「うまく、ネルフとゼーレの争いを利用するんだ。
そうだな、例えばSLBMをネルフ本部に撃ち込むというのはどうだ。
うまくいけば良し、失敗してもゼーレの仕業にするんだ。
タイミングさえ良ければ、成功するだろう。」

「はっ、分かりました。」

「どうせ、ネルフやゼーレなど、大日本帝国と第三帝国の夢を再び見ようというのだろう。
そんな奴らに世界を渡す訳にはいかん。
世界を手にするのは、人類初の世界帝国を打ち立てたあの方の血を継いでいる、我々こそが相応しいのだ。」

「はっ、その通りです。」

「ネルフとゼーレが、くだらん内輪もめをしている間に準備を進めるのだ。
期限は1年以内だ。しかも、絶対に外部にもれないようにしなくてはならん。分かったな。」

「ははっ。」


こうして、二人の男達の会話は終わった。


次話に続く
 
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written by red-x





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