新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のツインズ


第1部 アサトの1週間


第1話 月曜日−その1−


「ねえ、アサト。起きてよ。」

「う〜ん、もうちょっと寝かせてくれ。」

「あっそう。母さんに言っちゃおうかな〜。」

「おい、ちょっと待て!」

俺は飛び起きた。ちっ、アサミの奴。俺が母さんに弱いのを知っているから、直ぐに母さ
んのことを引き合いに出して、困ったもんだ。俺は仕方なく飛び起きた。これから、日課
であるランニングを始めるんだ。

***

「どうしたの、アサト。ちょっと走るの遅いわよ。」

「分かったよ。ちゃんと走るよ。」

俺の名前はアサト。そして、ここで俺と一緒に朝のランニングをしているのが、双子の妹
のアサミだ。俺もアサミも、第3新東京市立第壱中学校の1年生だ。毎朝学校に行く前に、
ランニングをするのが日課になっている。

家を出てから、約1時間ほどこの市内を走るのだが、ランニングを始めた頃と比べて、か
なり家から遠い所まで来れるようになっていた。走り始めた頃に比べると、随分早くなっ
たし、持久力も付いたと思う。

さて、走っているうちに、自己紹介をしておこう。この俺アサトは、母さんに似て、蒼い
瞳に白い肌をしている。そして、昔の母さんと同じように、紅茶色の髪の毛だ。自分で言
うのも気が引けるが、はっきり言ってハンサムだ。これも、母さんの血を濃く受け継いで
いるからだろう。

背も同年代の友人と比べても一際高いし、スタイルも良い。言っちゃなんだが、明朗快活、
スポーツ万能、容姿端麗、頭脳明晰と、非の打ち所の無い美少年だ。だが、俺には彼女が
いない。それもこれも、みんなアサミのせいなんだ。

別にアサミが悪いという訳ではないが、最大の原因なんだ。えっ、何でかって。アサミは
母さんに凄く似ていて、母さんの小さい頃と瓜二つなんだそうだ。だから、スポーツ万能、
容姿端麗、頭脳明晰と、これまた非の打ち所の無いスーパー美少女なんだ。

紅茶色の髪で、蒼く大きな瞳に、細くややつり上がった眉、高く整った鼻筋、魅惑的な唇
という、母さんの小さな頃の特徴と言われるものを受け継いでいる。

そして、ここが母さんと違う所なんだけど、優しくて、大人しそうな雰囲気を持っている。
母さんが太陽なら、アサミは月っていう感じかな。俺は太陽の方が好きだけど、俺の周り
の男どもは、月の方が大好きみたいなんだ。

えっ、それがどう関係するのかって。考えてもみろよ。物凄く可愛くて性格の良い妹がい
るんだぜ。並の女の子なら、比較されるのが嫌で、近寄って来ないのさ。しかも、アサミ
ときたら、俺の傍にへばりつくように一緒にいることが多いんだ。これじゃあ、普通の女
の子は近寄って来ないんだ。

えっ、じゃあ何でアサミから離れないのかって。これには幾つも訳がある。第1に、それ
が母さんの命令だからだ。常に妹達の傍に居て守るように母さんから命令されているんだ。
俺は、母さんのことを尊敬しているし、はっきり言って大好きだ。まあ、他にも理由があ
るけれど、俺が母さんの命令を聞かないことは、滅多に無い。

第2に、アサミといると、飽きないからだ。アサミは頭の回転が早いし、話題も豊富だ。
それに女の子の情報なんかも早い。結構、貴重な情報源なんだ。

第3に、アサミが可愛いからだ。さっきも言ったが、アサミは人気アイドルと比べても見
劣りしないほどのスーパー美少女だ。妹とはいえ、可愛い女の子が傍にいるのを、わざわ
ざ遠ざける理由なんてないのさ。

そんな訳で、彼女はいないけど、学校ではアサミや他の友人と一緒に割合楽しい時間を過
ごしている。だから、無理に彼女を作ろうとか思ったことは無い・・・訳がないだろう。
やっぱり、俺も男だ。女の子とデートしたり、キスしたり、もっともっと良いことをした
いと思っているんだ。

いくら可愛くても、妹とはそんなことは出来ないから、誰か良い女の子を見つけないとい
けない訳だ。もっとも、俺が思っていることを実行したら、妹達には軽蔑され、母さんか
らは恐怖のお仕置きを受けるだろう。だからこそこそとやるしかないが、現状では厳しい
んだ。

しかし、不思議なもので、小学生の頃は、女の子なんて、遊び友達感覚しかなかったけれ
ど、中学生になってからは、女の子ってもんを意識するようになってきたんだ。

でも、ついついアサミと比べてしまうから、これと言って良い女の子はなかなかいない。
ちょっと気になる女の子がいるんだけど、その女の子は男なんて興味無しっていう感じで、
全然脈が無い。年上の女の人も考えたけれど、それもちょっと・・・。

このままだと、彼女いない歴を更新しそうだ。もっとも、アサミも同じようなものだから、
ちょっとだけ安心しているけどな。

おっと、そろそろ1時間経って家に帰り着いたようだ。家に帰ったら、次が待っている。

***

「行くわよ、アサト!」

「いいぞ、アサミ!」

それを合図に、アサミが仕掛けてきた。

「とうっ!」

アサミが俺にスピードのある蹴りを繰り出す。

「はっ!」

それを俺は右手で捌き、お返しに左手でチョップを返す。

「せいやっ!」

それをアサミは足で振り払う。


そう、俺とアサミは、格闘技の訓練をしているんだ。これも日課で、ランニングで体を暖
めた後に行うのだ。俺からすれば、疲れてからだと思うのだが、とにかくほどよく疲れて、
ほどよく体が暖まった状態で、格闘技の技を磨くのだ。

えっ、何でそんなことをするのかって。俺もよく分からないけれど、母さんの命令なんだ。
体を鍛えて、強くなりなさいって言うんだ。そうして、妹達を守ってあげなさいって言う
んだ。母さんの言うことなら間違い無いから、俺は母さんの言う通りに体を鍛えている。

「おっはよ〜。」

おっと、妹達が起きてきたらしい。最初に起きてきたのは、次女のミカだ。こいつは、
俺達兄妹の中で唯一日本人的な顔をしている。そう、髪は黒く、瞳も黒いんだ。

でも、やはり母さんの娘だけのことはある。顔立ちはアサミとは全然違うが、細くややつ
り上がった眉、大きな瞳、常に自信満々の態度、凛々しい雰囲気はそっくりだ。やや低め
の鼻筋と、小さくて可愛い唇だけは似ていないけど、物凄いスーパー美少女ときている。

ミカは、外見は母さんと全然似ていないが、性格は良く似ている。明朗快活、スポーツ
万能、容姿端麗、頭脳明晰である所も似ているんだ。いつも女の子を3〜4人引き連れて、
リーダー役をしている。そうそう、こいつだけが髪の毛が短くて、他の二人は髪を長く伸
ばしている。

そしてその後ろにいるのが、三女のミライ。こいつはアサミの小さい頃にそっくりで、同
じ歳の頃の写真を比べると、見分けがつかない位似ている。もちろん、蒼い瞳に紅茶色の
長い髪の毛だ。

ミライは、外見も性格も母さんに似ている。こいつも明朗快活、スポーツ万能、容姿端麗、
頭脳明晰なんだ。こいつは何故かいつも男の子を引き連れている。ミカコと性格は似てい
るのに、ちょっと不思議な感じだ。

この2人は、俺達よりも遅く起きてきて、40分の間筋トレをして、残りの20分で格闘
技の訓練を行う。もちろん、この2人で訓練させたら危ないから、俺とアサミが別れて相
手をするんだ。

ミカは、まだまだ弱いが、ミライは結構強い。油断していると、この俺様でさえ技を食
らって痛い思いをすることになる。しかも、アサミと違って、思いっきりやれないから、
結構相手をするのが大変なんだ。

おっと、この俺が弱いなんて思わないでくれ。こう見えても、入学式の翌日に、この俺に
ヤキを入れようと脅しを入れてきた上級生50人を1人で叩きのめしたんだ。おかげで、
その日から上級生もこの俺に一目置くようになったんだ。

だが、その後が大変だった。入院する奴まで出たものだから、先生に呼び出されてこっぴ
どく叱られたんだ。そして、母さんまで学校に呼び出されたんだ。俺は気が気じゃなかっ
た。先生にいくら叱られても、何とも思わないが、母さんに怒られると、物凄いショック
を受けるからだ。えっ、その後はどうなったかって。それは後で話すよ。

ええと、話しは大きくそれたが、俺は学校で一番強いんだ。そんな俺に対して、唯一対等
に戦えるのが、アサミだ。だが、アサミは根が優しい性格のせいか、争いごとは避けて通
る。第一、俺の傍にいる時は、争いごとは全部俺が引き受けるんだ。

だから、アサミが俺と同じ位強いって知っている人は殆どいない。アサミが強いって知ら
れたら、人気は落ちるのだろうか。う〜ん、俺にも判断が付かないな。



次話に続く

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キャラクター紹介その2

ミカ

 小学6年生。他の兄妹と違って、瞳は黒く、黒髪だが、気の強い性格は母親ゆずり。細
くややつり上がった眉、大きな瞳、常に自信満々の態度、凛々しい雰囲気は母親に似てい
る。やや低めの鼻筋と、小さくて可愛い唇だけは似ていないけど、物凄いスーパー美少女
である。

ミライ

 小学4年生。外見はアサミに似ていて、蒼い瞳に紅茶色の髪。性格も母親似で、気が強
い。周りの人間からは、かわいいがブラコンという評価を受けている。



written by red-x


マナ:なんだかんだ言ってるけど、妹に甘いタイプね。絶対。

アスカ:しかーも、ママにも弱いっ!

マナ:マザコンはあなたもでしょ。(ーー)

アスカ:マザコンじゃないわよっ! 失礼しちゃうわねっ!

マナ:問題は、「ちょっと気になる女の子」がいるってことよね。

アスカ:歳を考えると当然じゃん。

マナ:どんな子なんだろう? 興味あるわね。

アスカ:赤い目さえしてなきゃ、どんな子だってアタシはOKよっ!

マナ:どうして、アスカがOK出すのかしらぁ?

アスカ:ん? さぁ。(^^;

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