新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のツインズ


第1部 アサトの1週間


第2話 月曜日−その2−


「いってきま〜す。」

訓練が終わり、大急ぎで朝食を済ませたら、兄妹全員で家を出る。これも母さんの命令で、
妹達を小学校まで送り届けてから、俺とアサミは中学校に行くんだ。だから、朝は大忙し
なんだ。とてもじゃないが、朝5時半に起きているとは思えない。

7時半に訓練が終わってから、シャワーを浴びたり、食事をしたり、歯を磨いたりして、
8時には家を出るんだ。だからゆっくり食べている時間は無い。母さんとも話している時
間がないんだ。そうそう、4月頃は時間が無くて、妹達を背負って走って行ったこともあ
ったっけ。

最近では、そこまですることはないが、それでも小学校から中学校までは、ダッシュにな
ってしまう。

***

「おはよ〜。」
「おはようございます。」

クラスに入ると、俺達は皆にあいさつした。俺達は双子なのに、何故か一緒のクラスだっ
た。普通なら、別々にすると思うんだが。でも、まあいいや。

「おい、アサト。お前の気に入りそうな映画を見つけたぞ。」

そう言いながら、悪友のショウが近付いてきた。こいつの両親ともに、母さんとは古くか
らの知り合いで、特に、母親の方は、一時期一緒に母さんと住んでいたらしい。そのうえ、
母さんはこいつの母親と同じ格好をすることが多かったという話しで、今も母さんとは仲
が良いらしい。

こいつとは幼なじみで、昔から仲が良く、ウマも合った。たまに俺の好きなものの情報を
集めてくれるんだ。もっとも、アサミに近付こうという目的が見え見えだけどな。でも、
集めてくる情報の信用性は高い。だから、俺はすかさず聞いた。

「うん、どんなやつだ。」

「例の碇シンジが出るやつさ。」

「何っ。本当か。」

「ああ、俺の親戚が持っていたんだ。碇シンジが出ることも間違いない。明後日に手に入
るから、家に来いよ。その時に見ようぜ。」

「う〜ん、金曜日でいいかな。水曜日は都合が悪いんだ。」

俺は、少し考えてから答えた。水曜日は、母さんが早く帰って来る日だから、家にいたい
んだ。それに、火曜日と木曜日は保育園に行く日だし。

「ああ、いいよ。じゃあ、金曜日な。」

「ああ、絶対に行く。」

「アサミも来いよ。」

「うん、アサトが行くなら行くよ。」

それを聞いて、2人ほど口を出してきた。まあ、いつものことだが。

「ああっ、あたしも行くう。お兄ちゃんも一緒に行って良い?」

こいつは、サキ。さらさらの長い髪の毛が良く似合う、綺麗な子だ。そのうえ胸がクラス
一大きいんだが、ちょっとガサツなため、人気はそれほど高くない。

こいつの兄貴は、アサミのことを狙っているんだ。だから、アサミが参加するイベントに
は必ず兄貴と一緒に割り込もうとする。きっと兄貴から頼まれているんだろう。

「あたしも行くっ。うちも、お兄ちゃんが一緒よ。いい?」

「ああ、いいぜ。皆で見よう。」

こいつはシノブ。こいつの兄貴もアサミのことを狙っている。シノブは、顔つきは幼くて、
綺麗とは言い難いけど、笑うととても可愛い。ちょっとお子ちゃまな感じがするがな。

ショウはいつものことと、あきらめているようだ。こいつもアサミのことを狙っているか
ら、本当は断りたいのだろうけど、ショウの姉貴がサキの兄貴のことを狙っているから、
断れないんだ。断ったのが知られると、物凄く怒られるらしい。

じゃあ、シノブが来るのを断ればとも思うが、ショウは気が多いから、アサミが駄目だっ
たら、シノブにしようなんて思っているらしい。だから、この2人の参加を断ることは無
い。結局、いつもの8人が集うことになるんだ。

えっ、碇シンジって何者かって。俺も良く分からないが、エヴァンゲリオンっていう巨大
ロボットに乗って、悪の組織と戦ったっていう英雄らしい。俺も最近知ったんだが、彼に
関する情報はあまり無いんだ。だから、俺は最近彼に関する情報を集めていたんだ。

そうこうしているうちに、チャイムが鳴り、授業が始まったが、俺は母さんが先生に呼ば
れた時のことを思い返していた。

***

『お宅では、どういう躾をしているんですかっ!』って怒鳴り散らす先生に対して、母さ
んはこう言ったんだ。『まず、事実関係を正確に教えて下さい。すべてはそれからです。』
さすがに俺の母さんだ。冷静だった。

先生は、それを聞いて怒り狂った。そりゃそうだ、何人もの生徒が入院するような事態に
なっているんだ。『何言ってるんですかっ!お宅のお子さんは、うちの生徒を何人も病院
送りにしているんですよっ!まったく、あんたは親でいる資格が無いっ!』

だが、母さんは動じなかった。『アサト、お前は悪いことをしたの?母さんの目を見て言
ってごらん。』そう言って、俺の目を見つめたんだ。俺は、母さんに見つめられると、昔
から嘘が言えないし、黙っていることも不可能だった。だから、こう言ったんだ。

『俺は悪いとは思わない。向こうから勝手に因縁をつけて絡んできたんだ。逃げても良か
ったけど、そうしたら、別の奴がやられるだろう、そう思ったから、俺は戦ったんだ。俺
は良いことをしたとまでは思わないが、自分のためだけに戦った訳じゃない。』

俺の言葉を聞いた母さんは、にっこり笑ってこう言った。『アサト、アンタは偉いわ。そ
れでこそ、母さんの自慢の息子よ。』俺は思わず母さんの笑顔に見とれていた。

それを聞いた先生は、口をあんぐり開けていた。そりゃそうだろう。普通の親なら、まず
子供を叱って、先生に謝るだろうからだ。そうして、体面を繕っても、子供の信頼を失う
んだ。

だが、母さんは違った。母さんは、俺達子供のことを心底信じてくれる。もっとも、その
代わりに、信頼を裏切った時の反動は物凄いことになりそうだが。だから母さんは、まず
事実を知りたがる。何をするにしても、事実に基づかない判断は誤ってしまうと知ってい
るからだろう。

一方、先生が固まっていたのは、ほんの数分だった。我に返ると、烈火のごとく怒り出し
た。『あ、あなたはそれでも親ですかっ!全然反省してないでしょう!いいですかっ!』
先生はそこまでしか言えなかった。母さんが反撃したからだ。

『あなたじゃ、話しになりません。校長を出してください。』『なっ、なんですって!』
『失礼ですが、あなたはアサトよりも未熟者のようですね。そんなあなたを相手にする時
間はありません。』そう言って、母さんは立ち上がったんだ。

『アサト、お前はもう帰っても良いよ。後は母さんに任せなさい。』そう言って、母さん
は校長室に一人で乗り込んで行ったんだ。その後を血相を変えた先生が追いかけて行った。
その後何があったのか、母さんは教えてくれなかったけど、結局俺にはお咎め無し。代わ
りに何人かの先生が処分を受けて、俺の先生は他の学校へ飛ばされたんだ。


次話に続く

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キャラクター紹介その3

ショウ
 1年A組に在籍する。アサミを狙っているが、ミライも気になる。密かにシノブも狙っ
ている。アサトにはめられて、毎週火曜日と木曜日に、保育園でボランティアの保育士を
している。アサトと幼なじみで、ウマが合うのか、仲が良い。

シノブ
 1年A組に在籍する。アサトが好き。アサトも好意を寄せている。顔つきは幼くて、綺
麗とは言い難いが、笑うととても可愛い。性格は、ちょっとお子ちゃまな感じ。
 アサトの母親に頼まれて、毎週木曜日に、保育園でボランティアの保育士をしている。

サキ 
 1年A組に在籍する。アサトが好意を寄せている。さらさらの長い髪の毛が良く似合う、
綺麗な子で、胸はクラス一大きいが、ちょっとガサツなため、人気はそれほど高くない。
だが、男っぽいさばけた性格なため、誰とでも仲が良い。
 アサトの母親に頼まれて、毎週火曜日に、保育園でボランティアの保育士をしている。






written by red-x


アスカ:ちょ、ちょっと待ってよ。シンジとアサトって他人みたいなんだけど?

マナ:あら? それがなにか困ったことでも?

アスカ:えーーーーーっ! うそっ! そんなのウソよっ!

マナ:これってなんか、面白い展開になってきたんじゃない?

アスカ:全然面白くなーいっ!

マナ:シンジ、格好良くやってるみたいだし、出てくるのが楽しみ。

アスカ:なんか、シンジの登場が怖くなってきたわ。(ーー;

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