新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のツインズ


第1部 アサトの1週間


第8話 水曜日−その2−


「さあて、メシだ、メシ!アサト、一緒に食べようぜ。」

給食の時間になったら、ショウが近付いてきた。

「ふん、どうせアサミが目当てのくせしてよ。」

俺は小さい声で言ったつもりだったが、ショウには聞こえたらしい。

「おいおい、親友だろう。そう、邪険にするなよ。」

ああ、分かってるよ。ショウの母さんには、小さい頃からお世話になってるし、よろしく
頼むって言われてるしな。

「冗談だよ。早く食べに行こうぜ。」

俺はアサミ達に声をかけて、食堂へと向かった。

***

「ようしっ、今日も腹一杯食べるぜ。」

ショウは、目一杯ご飯を大盛りにしている。おかずも、てんこ盛りだ。まあ、俺もショウ
には負けるが、大盛りだがな。

全員が、アサミの合図でいただきますと言ってから、食事を始めた。おっと、言い忘れた
が、いつものメンバーがここにいる。俺、アサミ、ショウ、サキ、シノブの5人だ。

食堂は広いし、丸テーブルが多いこともあって、俺達はいつも好んで丸テーブルに座って
いる。

えっ、食堂があるなんて珍しいって?でも、小学校の時も食堂で食べていたから、俺は特
に違和感は無いな。でも、たまに来る転校生は、食堂があることにまず驚くから、結構珍
しいのかもな。

そういや、前に母さんに理由を聞いたことがあったっけ。確か、教室で食事をするのは衛
生的には良くないからっていう理由だったと思う。でも、その時にサキの母さんが笑って
いたから、本当の理由が別にあるのかもしれない。

でもたしか、ここの食堂だけでなく、この第3新東京市内の小中学校の給食は、母さんの
経営している会社が運営しているんだっけ。そのせいで、俺達が通っている学校は、給食
の内容が他の学校よりもいいらしい。

聞いた話では、教育委員会からは一切お金を受け取らず、無償で運営を引き受けているら
しい。他の事業で儲けたお金を、母さんは子供のためになる事業にかなり還元しているら
しいが、食堂の運営を無償で引き受けているのもその一環だっていう話だ。

学童保育に対しても様々な援助をしているらしいし、母さんが理事長をしている社会福祉
法人も、殆どの保育園で学童保育事業をしている。なんでも、保育園で学童保育をするこ
とを、国が推奨しているんだと。俺が行ってる保育園は、学童保育をしていないが、それ
はむしろ例外らしい。

そのうえ、母さんは少年少女テニス大会やサッカー大会なんかのスポーツ事業に対しても、
多額の資金援助をしたりしているらしい。

そのせいで、母さんには教育委員会の人は頭が上がらないらしいんだ。以前、母さんを罵
った先生がよその学校に飛ばされたのも、母さんのことを知らなかったかららしい。

むろん、母さんのことを知る校長先生は、母さんの顔を見るなり揉み手をして、ニコニコ
しながら出迎えたそうだ。そして、母さんが罵られたっていう話を聞いて真っ青になって、
地面に額をこすりつける様にして土下座したそうだ。

もちろん、母さんは優しいから、校長先生をすぐに許してあげたらしいけどな。


「おい、アサト。」

食後のコーヒータイムに考え事をしていたら、ショウの奴が話しかけてきた。

「何だよ。」

「例の話をしようぜ。」

「ああ、そうだな。」

俺はサキとシノブに聞くことにした。

「おい、サキにシノブ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」

「なあに、アサト。ワタシのスリーサイズとかは教えないよ。」

うっ。サキはとんでもないことを言いやがる。これがなければ、もっと男子から人気が出
るのにな。でも、こいつは胸が大きいという素晴らしい長所があるから、俺達よりも上の
年代では人気が高い。

「どうしたの、アサト。」

一方、シノブは小首を傾げてにっこりと笑って聞く。う〜ん、女の子らしくていいな。こ
いつは、アサミの人気に隠れてはいるが、結構男子から人気がある。俺も、この仕草のか
わいさは結構気に入っているんだ。

でも、今はサキもシノブも甲乙つけがたい。俺にとってはどちらも気になる存在だ。おっ
と、話がそれたから元に戻すか。

「ああ、実は、金曜日に碇シンジが出るっていう映画を見ることになっているよな。その
碇シンジを指揮していたのが、葛城ミサトっていう人らしいんだ。」

「げっ。ワタシのママと同じ名前じゃん。」

サキが驚きの声をあげた。

「それだけじゃない。碇シンジの仲間に、綾波レイ、鈴原トウジっていう人がいたんだ。」

「綾波って、ミカちゃん達の友達と同じ名前じゃない。鈴原は、ヒカリおばさまの名字
と同じだし。偶然の一致なのかしら。」

シノブも驚いたようだ。

「ああ、偶然の一致とは思えない。だから、今度の金曜日、映画を見るときに、お互いに
情報を集めて持ち寄ろうと思うんだ。でも、大人には聞かないで欲しい。あくまでも、俺
達の力だけで事実を突き止めたいからな。」

「ああ、ワタシはいいよ。さんせ〜。面白そうじゃん。」
とサキ。

「そうね、私もそれでいいわ。」
とシノブ。

「ようし、じゃあ金曜日にこの話をしような。」

こうして、各自、親には内緒で事実を突き止めることになったんだ。




次話に続く

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あとがき


 第壱中学校で給食が始まった真の理由。それは、某少女が、フィアンセに弁当を作らせ
るのがみっともないと思ったからというものです。


written by red-x


マナ:いよいよ動き出したわね。

アスカ:ふふふ。そんなに簡単に、正体がばれるわけないでしょ。

マナ:でも、ここまでネタが上がってるんだから、時間の問題じゃない?

アスカ:うーん、ばれないように、みんな苗字を変えて貰おうかしら。

マナ:そんなの・・・今更・・・。(ーー;

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