新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のツインズ


第1部 アサトの1週間


第24話 日曜日−その2−


「「「「おはようございま〜す。」」」」

朝食を食べ終わった頃、玄関から可愛らしい声がした。おっと、誰が来たのかな。俺がそ
んなことを考えていたら、ミカが玄関へと走って行った。そして直ぐに、威勢のよい声が
聞こえてきた。

「あっ、おはよ〜っ!ちょっと待っててね。ねえ、ミライ!早くしなさいよ。」

「は〜い、今行くよ〜っ。」

ミカに呼ばれて、のんびりと牛乳を飲んでいたミライは玄関へと向かう。

「アサトも〜、ちょっと来て〜っ。」

はははっ、やっぱり俺も呼ばれたか。俺は、苦笑しながら玄関に向かう。玄関には、ミカ
の同級生の相田ミキ、綾波アイ、霧島レイナ、鈴原ナツミの4人が立っていた。

「「「「アサト、おはよ〜っ!」」」」

可愛らしい声がハモる。

「ああ、おはよう。今日は頑張れよ。俺も、後で応援に行くからな。」

「「「「は〜い。」」」」

俺の励ましに、4人ともにっこりと笑う。4人揃って、母親似の美少女だ。どういう訳か、
俺はこの4人に気に入られているらしい。ミカやミライによると、皆俺のファンらしい。

「みんな、そろそろ時間だよ。約束通りアサトを見せてあげたんだから、早く行こうよ。」
「そうだよ、早く行こう。」

ミカとミライが急かしたため、4人とも名残惜しそうに出て行った。なんだよ、それって。
俺は見世物かよ。俺は少し頬を膨らませた。

***

それから程なくして、母さん達が起きてきた。

「みんな、おふぁよ〜。」

母さんは、あくびをしながらリビングに入ってきた。ちょっと行儀が悪いな。

「あっ、おかあさん。おはようございます。いつもすみませんねえ。」

今度は居候・・・じゃなかった、父さんがやって来た。朝食の用意が出来ているのを見て、
ばあちゃんに礼を言う。

「いいのよ。昨日は張り切って、疲れたでしょ。たくさん召し上がれ。」

「ええ、確かに疲れましたよ。ぎっくり腰になりそうです。」

そう言って苦笑する父さん達を、母さんは睨み付けた。

「アンタ達ねえ、子供の前で何を言ってるのよ。まったく、もうっ!」

何故か、母さんはプリプリしていた。何で母さんが怒るのか、俺には理解不能だ。母さん
が訳も分からず怒るなんて、こんなことは珍しい。

「ちぇっ。昨日の晩は可愛かったのに、今のアスカとは大違いだ。」

小声で父さんがボソボソ言ったが、母さんの耳に入ってしまった。

「ぬあんですって!それ以上言ったら、当分お預けにするわよ。」

「あわわっ。そりゃあないよ。勘弁してよ。」

父さんは、急に顔面蒼白になって頭を何度も下げだした。一体、どうしたんだろう。しば
らく、ご飯抜きっていうことなのか?確かにそれは厳しいな。とにかく、父さんの慌て方
は尋常ではなかった。

「まあまあ、それくらいにしなさい。早く食べないと、試合が始まっちゃうわよ。」

そこに、見かねたばあちゃんが声をかけた。すると…。

「「あっ!」」

時計を見た母さん達は、慌てて食べ始めた。

***

それから少しして、俺、アサミ、シノブの3人で、地下の駐車場へと一足先に向かった。
そこには、既に先客がいた。ショウ、サキ、ケイの3人だ。俺とショウはかったるいから
ぼおっとしていたが、女どもは早速群れておしゃべりを始めた。

最初は何気なしに聞いていたが、そのうち気になる話題が出てきたので、俺は耳を傾けて
いた。

「あのさあ、近い内に女子サッカー部を作るから、色々と協力してね。」

シノブの頼みに、ケイは驚いたようだった。

「シノブったら、本気なの?普通、女の子は小学生のうちはサッカーしてても、中学生に
なったらやめるでしょ。その逆はあんまりないじゃん。人集めなら手伝うけどさ、私は絶
対に入らないわよ。」

「ワタシもパス。大体さあ、保育園はどうすんのよ。せっかく子供達にも慣れてきたし、
やめたくないでしょ。」

サキも、首を横に振った。だが、そこにおずおずとアサミが口を出した。

「ごめんね、サキ。多分、サキは入ることになると思う。」

「へっ。ワタシが?そりゃまたなんでよ。」

サキは、驚いてアサミを見た。

「だって、シノブもサキも、自分から希望して保育園に行く様になったんじゃないでしょ。
今回も同じ。シノブだって、サッカーをしたい訳じゃないと思うの。」

「えっ!」

サキが驚いてシノブを見た。シノブは苦笑しながら頷いた。どうやらこれで何かが伝わっ
たらしい。サキががっくりと肩を落としたからだ。

「ど、どうしたのよ、サキ。」

あまりの落ち込み振りに、ケイが心配して声をかけた。すると、サキは今度はにっこりと
笑った。

「頭数は心配しなくても済みそうよ。理由は保育園と同じ。だから、間違いなくアケミや
サナエ、ナオミはサッカー部に入るわ。ケイもね。当然、アサミもね。」

「ええっ、どういうことよ。」

ケイは混乱したらしく、頭をしきりに振っていた。サキは、それに答える代わりにシノブ
に顔を向けた。

「シノブ、何かご褒美があるんでしょ。いいから言っちゃいなさいよ。」

「うん、分かった。今年の女子サッカー部の夏合宿は、アメリカで。冬合宿はヨーロッパ。
春合宿は、アメリカかヨーロッパを部員の多数決で決める。そんなところかしら。もちろ
ん、物凄く強いボディーガード付きよ。」

シノブがそう言って、ちらっとこちらを見た。ん、何だか嫌な予感がするな。

「それって、もしかしてもしかする?」

ケイもこちらをちらっと見た。おいおい、一体何の話しだよ。

「そうよ。だから、下手すると人数制限が必要になるかもね。来年は間違いなくミカちゃ
ん達が入って来るから、競争は物凄く激しくなるわよ。」

「分かったわ。選択の余地は無さそうね。」

ケイも、さっきのサキと同じように、がっくりと肩を落とした。

「うん。多分話をしたら、保育園の子は皆入ると思うし。でも、話さない訳にはいかない
でしょ。」

「そうよねえ。」

そして、シノブとケイが深くため息をつく。

「ワタシとアサミは、別に入りたいわけじゃないんだけど。やっぱりそうも言えないよね。
どうせ、頭数には入っているんでしょ。」

サキの問いに、シノブは頷く。

「アサミとサキは、監視役として必要だから。私はアサミやサキほどには信用が無いとい
うか、無くしたというか…。」

と言いながら、頭をポリポリ掻いた。う〜ん、今とっても俺に関係する、重大な話をして
いたような気がするんだが、残念ながら俺には内容が殆ど理解出来なかった。

 
つづく

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キャラクター紹介その4

○アサトの妹ミカの友達

綾波アイ
 ミカの友達でアサトのファン。ミカ達仲良し5人組でいつもつるんでいる。母の若い頃
にそっくりと言われている。ミカとは双子に良く間違われるほど似ている。母のレイは、
超スーパー美人なうえに凄く優しい。アサトも、とある出来事以前はレイを慕っていた。

鈴原ナツミ
 ミカの友達でアサトのファン。ミカ達仲良し5人組でいつもつるんでいる。母の若い頃
にそっくりと言われている。母のヒカリは、親しみやすく面倒見が良いうえに、美人で凄
く優しい。ヒカリには、アサトは小さい頃からお世話になっている。

霧島レイナ
 ミカの友達でアサトのファン。ミカ達仲良し5人組でいつもつるんでいる。母の若い頃
にそっくりと言われている。母のマナは、親しみやすく優しい雰囲気の美人。実際にとて
も優しい。アサトも、とある出来事以前はマナを慕っていた。

相田ミキ
 ミカの友達でアサトのファン。ミカ達仲良し5人組でいつもつるんでいる。母の若い頃
にそっくりと言われている。母のユキは、細面で髪の長い色白美人で、家事全般が得意。
ユキには、アサトは小さい頃からお世話になっている。

○アサトの女友達

ケイ  5年のサヤカ、4年のマキ、3年のヒトミの3人の妹がおり、3人ともミライと同
    じサッカーチームに属している。
アケミ 保育士のボランティア。妹がおり、近々ミライと同じサッカーチームに入る予定。
サナエ 保育士のボランティア。妹がおり、近々ミライと同じサッカーチームに入る予定。
ナオミ 保育士のボランティア。妹がおり、近々ミライと同じサッカーチームに入る予定。


written by red-x

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