新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセS

第2部 ゼーレとの戦い

第36話補完 暗闇の中で



「ねえねえ、皆起きてる?」

暗闇の中で声がした。マリアである。

「ええ、起きてます。」

「私も。」

「ああ、起きている。」

それぞれ、ユキ、アールコート、ミリアである。

「ユキちゃん。さっきの話しの続きをしない?」

もちろん、アスカの話である。

「へへっ。やっぱり気になります?」

と笑顔のユキ。

「ふん、くだらん。」

と仏頂面のミリア。アールコートは無言である。

「あら、ミリア。駄目じゃない。あなたはアスカの護衛でしょ。
アスカに関する情報は、どんなに小さいことでも集めなくちゃ。」

マリアに言われて反論出来ないミリアであった。

「じゃあ、皆で知っていることを教え合いましょうね〜。じゃあ、ユキちゃんからね。」

「えっ、私からですか。」

そう言いながらも、アスカとシンジの仲が良いことを嬉しそうにユキは話していく。
さすがに秘密だと念押しされたことは話さなかったが、

アスカが転校して来て直ぐにシンジと同居したこと、
二人で歩いているのを良く目撃されていたこと、
しょっちゅう痴話喧嘩をしていたこと、
途中でマナというお邪魔虫が出現したがすぐに消えたこと、
それ以来アスカが授業中にシンジのことを見つめることが増えたこと、
アスカが退院した後急速に仲良くなったこと、
シンジがアスカに強引にキスして付き合うように言ったこと、
自分の間近でシンジがアスカにプロポーズしたこと、
シンジが不良に襲われた後物凄く怒っていたこと、

それらのことを、色々なエピソードを絡めながら、延々と話していった。

「へえ、あのアスカが。男には興味無しっていうオーラを体から発していたのにねえ。」

ドイツ時代のことを知っているマリアは、感慨深げに言う。
マリアは、アスカの初恋の人を知っていた。
そして、『ある事件』以来、アスカが当分男を好きになるのを辞めようと決めていたことも。
だが、この場では話すことは出来ないため、適当に誤魔化したのだ。

「で、今はどうなんだ。」

最初とうって変わって積極的に聞いてきたミリアであった。
おそらく、マックスのことが頭にあるのだろう。

こうして、この夜をきっかけに、
アスカとシンジの仲睦まじさが尾ひれを付けて広まっていくのであった。

***

アスカの話で大いに盛り上がった4人であったが、
さすがに4時過ぎになると、眠りに付きだした。
そして、皆が寝静まった頃、マリアは『ある事件』の後に
アスカが悲しそうに口ずさんでいた歌を思い出していた。



仲間が地雷を踏んだのさ〜 とっても良い奴だったのに〜

散らばるかけらをかき集め〜 明日は我が身と〜 泣いたのさ〜

あ〜あ アタシの人生真っ暗ね〜 淡い初恋だったのに〜

尽きずに流れる血の涙〜 いつかは枯れると〜 信じたい〜



マリアは、アスカが本当に悲しそうに、涙を流し声を枯らしながら歌うのを見て、
声をかけられなかったことだけは覚えていた。

(アスカ…。今度こそ、うまくいくと良いね。
あの時は、好きと言うことも出来なかったものね。
もちろん、手を握ることすら…。)

マリアはそう心の中で願うと、次第に睡魔に襲われ、意識を失なっていった。
それはいかなる偶然か、マリアの父達が暗闇を利用して、
ネルフの中にとある荷物を運び終えたのと同じ頃だった。


次話に続く  
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

キャラ設定:アールコート・マリウス

エヴァンゲリオン操縦者候補生で、アメリカ支部に所属している。ジャッジマンの部下。
市立第壱中学2年B組に在籍する。割ときゃしゃな感じで、蒼い瞳、紫色の髪をした白人の少女。


あとがき

アスカの初恋は、ワイルドウルフの仲間で、次はシンジということにしました。
加持は恋では無く、あこがれということで。


 written by red-x
inserted by FC2 system