新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセS

第2部 ゼーレとの戦い

第39話補完 マヤの怒り


「も〜っ、何でこんなに忙しくなるのよっ!」

マヤは機嫌が悪かった。
最近リツコがアスカにべったりとくっついていることも機嫌が悪い理由の一つだ。
なにしろ、最近のリツコはマヤの相手をしてくれないことが多く、しかもアスカにべったりなのだ。

一緒に暮らしているのはもちろんのこと、
学校からネルフにはアスカと来ることが多く、帰りも一緒なのである。
特にアスカが婚約解消してからは、リツコとアスカが一緒に行動することが非常に多くなったのだ。

しかもリツコの技術部長室とアスカの技術部副部長室は、
隣にあるうえ繋がっており、同じ部屋にいると言っても良い。
その中で二人きりで何かをしているのだ。
マヤからすれば面白くないことこのうえない。

アスカが婚約する前は、アスカの体調が本調子でなかったこともあり、
アスカは自分の部屋から動かなかったため、リツコが部屋を出たところを捕まえて話す機会も多かった。
婚約してからは、アスカはシンジと一緒にいることが多く、これまたリツコと話す機会が多かった。

だが、アスカが婚約解消してからは、シンジと共にいた時間は、全てリツコと一緒の時間になっている。
マヤとしては、一刻も早く二人の仲が戻るのを願っていた。
しかも、アスカはリツコとおそろいの白衣を着ることが多く、それを見ると何だか無性に悔しくなるのだ。

「も〜っ、何で婚約解消なんてするのよっ!」

そう、全てはそれが原因なのだ。
マヤは本当に困ってリツコの力を借りたい時や、どうしてもリツコの顔を見たくなった時には、
シンジにお願いして助けてもらっていたのだ。

アスカとは、キスシーン大公開事件以来冷たい関係が続いているのだが、
シンジは人が良いのか、謝ったらあっさりと許してくれたのだ。
それ以来、アスカ絡みで困った事があると、全てシンジにお願いしていたのである。

だから、二人が婚約を解消し、口もきかなくなったと聞いた時は、物凄いショックだった。
成功率が100%近い頼みの綱が切れたのだから、無理もない。

だが、細いながらも、最後に残った綱がシゲルだった。
シンジの頼みは滅多に断らないアスカだが、他の人間の頼みは割合あっさりと断ることが多い。
その中で、シゲルはかなり高い確率−と言っても半分を少し超える位だが−で、
アスカに頼みを聞いてもらっている。思ったよりも頼りになるのだ。

もっとも、アスカの友人のユキちゃん経由で聞いた話では、
シゲルはアスカのかなり無理な注文を引き受けているらしいが、シゲルはそんなことは一切言わない。
マヤはそんなシゲルに対して、申し訳ないという気持ちが徐々に大きくなっていた。

そのため、いつしかシゲルに誘われたら必ず一緒に飲みに行くようになったのだが、
最近ではそれが逆転して、マヤの方から誘うこともあったのだ。

「もう、くやし〜いっ!青葉さんっ!今日はトコトン飲みましょうねっ!」

「あ、ああ。」

一見、シゲルはマヤの剣幕に押されたように見えるが、実はそうではなかった。
アスカに頭を下げて、マヤとリツコを引き離すように頼んでいたのだ。
その効果が目に見える形で現れたので、シゲルは内心では飛び上がらんばかりに喜んでいた。



次話に続く 
 
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あとがき

 最近出番の少ないマヤです。シゲルがアスカと組んで、リツコをマヤから遠ざけている
のを知らず、イライラしています。シゲルはマヤとの仲の進展が目当てで、アスカはリツ
コに女の幸せを掴んでもらうのが目的なのですが、二人の利害は一致しているようです。

written by red-x
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