新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセS

第3部 ゼーレとの戦い−激闘編−

第49話補完 余波


「マヤ、ちょっといいかしら。」

ネルフ内において、珍しくリツコがマヤを呼び出した。

「はい、先輩。なんでしょうか。」

「これから、かなり忙しくなるわよ。覚悟して。」

「えっ、どうしたんですか。」

「急に予算が認められたのよ。
新型エントリープラグに、新型兵器、その他諸々の開発についての予算がね。」

「ええっ、それって、物凄い金額になるんじゃ。」

「ええ、そうよ。でも、認められたからには、やるしかないわね。」

「そ、そうですね。頑張ります。」

「そこで相談なんだけど、アスカには新型エントリープラグの開発をやってもらおうと思っているの。
何と言っても、元パイロットだしね。そこで、マヤには新型兵器の開発をして欲しいのよ。」

「へ、兵器の開発ですか。」

「ええ、そうよ。でも、これには作戦部と共同で開発する方が良いわ。
作戦部が使えない兵器を作ってもしょうがないしね。
そこで、青葉君と組んで、兵器の開発をして欲しいのよ。良いわね、マヤ。期待してるわよ。」

「はい、先輩。」

これがシゲルに頼まれたアスカの差し金とも知らず、リツコの期待に沿うべく、マヤは張り切った。
こうして、マヤは巧妙に、シゲルと急接近させられることになるのである。

***

「ええっ、奨学金を受けられるんですか?」

中学校では、ユキがミサトに職員室に呼び出され、
大学を卒業するまで奨学金を受けられるという話を聞かされて、大喜びだった。

対象者は、使徒が現れてから孤児となった子供全員だそうだ。
学費と学業に要する費用全額と、生活費及び家賃の補助が受けられるのだ。
申請すれば、住居のあっせんまでしてくれるというのだ。まさに至れり尽くせりの制度だった。

ユキは、住居は既に確保しているため、学費等と生活費が支給される。
それも、3人分であるため、一気に家計が楽になるのだ。
支給される金額を念のため確認してみたが、中流家庭並みの生活が出来る位の十分な額だった。
もう、家計を必要以上に切り詰めなくて良いのだ。
これで大学を卒業するまでは、生活費の心配をする必要もない。
お洒落も人並みに出来るだろう。ユキにとっては、それが一番嬉しかった。

「ミサト先生。私は働いているんですが、大丈夫なんでしょうか。」

ユキは、ふと心配になって尋ねたが、ミサトは首を縦に振った。

「もち、大丈夫よ。働いた分を減額されることはないわよん。
全部自分のために使いなさ〜い。お洒落に使っても良いわよ〜ん。」

「でも、一体どうして急に。」

ユキは疑問に思ったが、ミサトからは答は返って来なかった。
実は、これもアスカの発案なのだが、ミサトは言わないことにしていた。
ユキが負担に思うかもしれないと考えたからである。

アスカは、後々のことも考えて、新たな財団を設立した。
そこにネルフ職員の殉職者の遺族に働いてもらうことにした。
そして、この第3新東京市で親を亡くした子供が、奨学金を受け取れるようにしたのである。

こうしておけば、仮に将来ネルフが解体されたりしても、
奨学金制度自体は存続するし、遺族の職場も安泰なのだ。
資金はネルフから支出した。
その資金を運用して、その運用益で事業を継続するのだ。
セカンドインパクト以前と違い、今の世界の利息は割合高い。
このため、20億円の基金でも、年間1億円の運用益を生み出すことが可能だった。

それだけあれば、職員数人分の人件費と、
一人当たり年間200万円の奨学金が40人分確保出来るのである。
もし、それで足りなかったら、基金を増額すれば良い。
遺族の職場には、他にも株式会社や社会福祉法人を充てる予定もあった。


これらの出来事は、全て『the sleeping thief operation』成功の余波だった。
ネルフが巨額の資金を確保したことによって、大きな歯車が回り始めたのだった。

 
次話に続く

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

あとがき

 アスカは、ユキが素直にお金を受け取るために、奨学金制度を創設しました。これで、
ユキはケンスケとのデートに着ていく服が増えるでしょう。


written by red-x






inserted by FC2 system